気まぐれ更新のよがこらむ、今回もお読みいただきありがとうございます。
前回は、座法についてのお話でしたね。
座るって簡単にいうけれど、体も心も表しているものだったりするのですよ。
(へぇ~ へぇ~ 注:トリビアの泉←古っ)
さて今回は、「ハタヨガ」についてお話していきましょう。
3回目で「ヨガの流派」について書きましたが、そこから「ハタヨガ」だけを深く掘り下げてみますかね。
「ヨガの流派」の回では、
・ハタヨガは流派ではない
・ヨガに関するものすべてがハタヨガである
というところまでお話しました。
今回はもうすこし踏み込んでみましょう。
ちょいとマニアックなところに足を踏みいれてしまうやもしれませんよ。ふっふっふ
●「ハタ」の意味
ハタヨガの概念をもういちどおさらい。
どんなヨガスタイルもハタヨガの一部です。
アシュタンガヨガも、シヴァナンダヨガも、ホットヨガも、のんびりヨガも、リラックスヨガも、
みーんなハタヨガの一部です。
そして、
ヨガのポーズで体を動かすこと、呼吸の練習をすること、ヨガの経典を読むこと、なんかもハタヨガの一部とわたしは考えています。
では、「ハタ」って何でしょうね?
これもちゃんと意味があります。
「ハタ」自体が持つ言葉の意味は「力(ちから)」「強さ」
インドの古い言葉サンスクリット語での意味です。
また、「ハ・タ」のそれぞれにも意味があって、
「ハ」 =太陽
「タ」 =月
つまり、「太陽と月」という、いわば相反するものをひとつにした言葉なのです。
なぜゆえに、こんな相反する言葉がすべてのヨガを指す言葉になっているのでしょうか?
●太陽と月 ~相反するもの
世の中には、プラスの要素のものと、マイナスの要素のものがあります。
二極にわかれるものです。
例をあげると・・・
太陽 月
強い 弱い
陽 陰
楽しい 悲しい
右 左
動 静
なんて、枚挙に暇がございませぬ。
すべてのものは二つの要素でできている、とは言い切れませんが、多くのものがそういった「相反する要素」を持ち合わせています。
これは難しい言い方をすると、二元論(にげんろん)といわれるものなのですが、ヨガ哲学ではこのような二元論と、実は一元論の考え方に基づく部分もあったりします。(ここを説明すると、というか今のわたしでは説明しきれないので、とりあえずはやめておきます。汗)
ただ、「プラスとマイナスがある」という考え方のほうが、なんとなく受け入れやすいと予想されますので、今回は、こんな感じなのねーとお考えくださいな。
話を戻すと、
世の中には相反するものがたくさんあるんだけど、
もっと具体的なところに落とし込んでみると、わたしたちの心もそうだとは思いませんか?
心の浮き沈みなんかが一番分かりやすいところですね。
ちょっとしたことで楽しく、嬉しくなって、
でもすぐ次の瞬間には何かを思い出して悲しくなったり。
そんなものでわたしたちも構成されているのです。
この「2つの要素」ということが「ハ・タ」という言葉では表現されています。
ヨガをすることで、この相反する要素を感じ、そのちょうど真ん中を目指していきましょう、という考え方が「ハタヨガ」には詰まっています。つまり、これがヨガの中心となるマインドなんですね。
●中庸であること ~バランスをとる
だいぶ小難しい感じになってきました。
わかったようなわからないような・・・(~_~)
わたしなりに噛み砕いてみましょうか。
心の浮き沈みについて考えてみましょう。
どうでしょうか、浮き沈みが毎日あると結構疲れますよね。心も疲れるし、体も結構しんどい。
実際に、わたしは結構アップダウンがあるほうだったので、しんどさがよく分かります。
そして、そのアップダウンって、意外と自分ではコントロールしにくかったりする。
これ以上やっちゃうとダメかもねー とか
本当は疲れてるんだけどやめられないー とかとか。
わかっちゃいるのにやめられない、止まらない。
体もどんどん疲れていくのに、歯止めが利かない。
人によっては怒りや食欲とかもそうかもね。止められない。
本来であれば、コントロールが上手な人は、適度にお休みするし、止めることができる。
その自分なりの「コントロール方法」を見つけるためにヨガがあると考えてみてください。
ヨガではいろんなポーズや、呼吸を行います。
難しいものもあれば、すごく気持ちがいいものもある。
その日の気分によっても非常に左右されますね。
また、ヨガでは左右で同じことをしますが、左右って案外違っている。
右と左では、ちょうどいいポイントが違うことが多い。
そんな中で、
「ちょうどいいところをいつも見つけたいよねー」という思いがヨガをする目的だったりするわけです。
右に寄る事もなく、左に寄る事もなく、ちょうど真ん中。
がんばりすぎず、でも怠けてもいない、ちょうどいいところ。
自分なりにバランスが取れているポイントをいつも探す、ことをヨガでは大切にしています。
このようなバランスをとる考え方が「ハタ」という言葉には込められています。
●ヨガクラスのなかでの「ハ・タ」ポイント
実際のヨガクラスの中では、「ハ・タ」はどんな部分に散りばめられているのでしょう?
ヨガクラスではずうっとキツイポーズや、呼吸を長く止めたりしているわけではなく、必ずリラックスしてゆるめるところが用意されています。
ぐぐっとがんばって前屈をして、腹圧かけて伸ばし(ハ/太陽・強・動)
そのあとに
力をぜんぶ抜き、リラ~ックスして力や筋肉をゆるめます(タ/月・弱・静)
逆説的な言い方をすると、
力を込めてがんばったからこそ、力を抜くことができ、リラックスを味わえる
といえます。
日常的に肩や体に力(ちから)が入っている人の場合、自分に力が入っていること自体に気がついていないので、あえて力を入れることで、脱力を感じることができるというわけです。
静を感じるためには、動が必要なのです。
ヨガに慣れてくると、ひとつのポーズのなかで、強さもリラックスも感じ取ることができるようになってきます。
リラックス系のクラスでも、いくつか筋力を使うようなポーズが入っているのはそのためですね。
また、動きの多いパワー系のヨガでも、最後はお休み(シャヴァアーサナ)がしっかり待っています。
「ちょうどいいところを見つける」という点からいうと、
クラス内すべてのポーズ、呼吸がそうであってほしいと思っています。
わたしがよく言う「無理しないでね」という言葉にも、「自分でちょうどいいところを見つけてね」という思いが入っています。
前述のように、心をコントロールすることはなかなか難しいことです。
自分の体を通して、ポーズをコントロールし、「ちょうどいいところを見つける」ことができるようになると、心もコントロールできるようになってきます。
これが、ヨガで「ポーズをする」理由です。
ちょっと今回は小難しくなったかな?
自分のことに置き換えてみると、すこし分かりややすくなるかもしれません。
ハタヨガはすべてのヨガの根本となる考え方です。
動と静をたまに思い出してみると、キツイポーズも楽しめるかもしれませんよ。